オール松山南で取り組む課題研究

《松山南SSH事業 オール松山南(砥部分校デザイン科と共同)で取り組む課題研究

「砥部焼の魅力再発見プロジェクト ~郷土愛で砥部焼の強度向上を~」

 松山南高校には、SSHに指定されている全日制のほか、定時制、そして、デザイン科がある砥部分校があります。また、私たちの地域には240年の歴史がある砥部焼があります。
 本校と砥部分校での共同研究として、「砥部焼の魅力再発見プロジェクト ~郷土愛で砥部焼の強度向上を~」を行う企画をたて、「SSH(超理系)×とべぶん(超文系)」として協力して取り組んでいます。この事業は、松山南高本校と砥部分校の合同企画(オール松山南)で行っており、本校では、学校のシンボルツリーである「イチョウの木」や「砥部町の七折梅の枝」を使った新しい釉薬(焼き物の表面を覆うガラス化したもの)の研究、分校では本校が完成させた釉薬を使って、砥部焼アクセサリーの商品開発、この2つを目標に事業を進めています。

   
 本校ではSSHの砥部焼班がこの事業に取り組み、スクールカラーの紫色や赤色を目指して、新しい釉薬を研究しました。
 また、砥部分校では、この基礎釉薬を基に、新しい釉薬の開発に取り組み、アクセサリーや小皿を作製しました。
 今後も、本校と砥部分校の研究が合わさって結果が出ることを楽しみにしています。

  

〇令和2年7月24日(金)、愛媛県立総合科学博物館を会場として、第6回中高生のためのかはく科学研究プレゼンテーション大会が開催され、本校理数科3年生のクモ糸班と釉薬班が発表してきました。釉薬班はポスター発表で「ゼーゲル式を用いた青色酸化被膜の除去の研究」をいう題目で発表を行いました。愛媛県の伝統産業である砥部焼の釉薬に関する研究で来られていた先生方に興味を持っていただくことができました。ポスター部門で愛媛県知事賞を受賞することができました。審査委員である大学の先生方、高校の先生方、発表者である高校生から研究に関する貴重な意見をいただき今後の論文作成やコンテストの出品に向けての知見得ることができ、非常に密度の高い研究発表会となりました。
          






 釉薬は、陶器・磁器の表面をコーティングするガラス層のことであり、「うわぐすり」とも呼ばれる。役割として、ただ焼き物を装飾するだけでなく、強

度を上げたり、汚れにくくしたりもする。上左図のAのように、釉薬(うわぐすり)は、基本的に透明なガラス層である。

 今回、イチョウを用いて開発しようと挑戦したのは、Bのように釉薬そのものが発色する釉薬である。

 また、上右図のAのように、一般的な釉薬は、主原料、媒熔材、補助剤の三つからなる。主原料に長石、媒熔材に植物灰、補助剤に藁灰を使用するのが一般的である。補助剤は主原料、媒熔材だけでは釉薬として機能しない場合に使用されるが、後の実験よりイチョウを用いた場合、補助剤が特に必要ないと考えら

れたので、Bのように、本研究では主原料に福島長石、媒熔材と補助剤にイチョウの灰を使用することとした。これを以下基礎釉とする。また、釉薬は、焼成方法や、焼成温度によって透明感、質感、発色に影響が出る。今回は自然をイメージできる色で表面が滑らかな質感の釉薬を作ることを目標とし、砥部分校デザイン科と協働してアクセサリー(ブローチ)の開発を行った。


〇東京家政大学「生活をテーマとする研究・作品コンクール」 優秀賞(全国1位相当)

 高校生が考える新しい発想の砥部焼 ― イチョウの灰を使った釉薬によるアクセサリーの商品開発 ―





 令和2年12月12日(土)理数科の砥部焼ぎんなんズ4人は、砥部分校烏谷先生の御指導のもと、小皿に自分たちが作った釉薬をかける挑戦をしました。テストピースを作る作業と異なり、余分な場所に釉薬がかからないようにすること、規定以上の大きさの釉薬粒子を除去するなど細心の注意を払いながら釉薬をかけました。
 その後、烏谷先生に砥部分校のガス窯を見せていただき、本焼き時の複雑かつ繊細な作業の話をしていただきました。
 なお、今回の小皿にかけた釉薬は、ギンナンの灰を用いたもので、優しい緑青に発色するように調整していますが何色になるか楽しみです。21日(月)に焼きあがる予定です。お楽しみに。

     


 令和3年
1月30日(土)の模擬試験終了直後から、砥部焼ファミリー(SSH砥部焼班1~3年)が、化学実験室に集まり、作成したテストピースの色の評価方法に対する検討会を行いました。色の評価の研究は、梅ちゃんズから始まり、ぎんなんズがRGB法を確立し、今後の研究発表で用いる予定です。そこで、今回の検討会では、1年生の小梅ブラザースが、研究でGoSpectro という反射光を分析する道具を使うべきかの話し合いでした。この道具は、梅ちゃんズの渡部さんが、愛媛大学でeGSを担当されている林教授からお借りしているもので、反射光の分析データを解析することで、反射光に影響している元素が分かるかもしれないというものです。実際に分析データを測定したり、そのデータを比較検討することで、2時間以上にも及ぶ議論は、砥部焼ファミリーの結束の強さと、釉薬に対する愛情の深さを象徴しているものでした。結論としては、2年生が確立したRGB法を用いつつ、大学においてGospectroの研究も行うようになりました。今後、皆さんにいい結果が報告できるように砥部焼ファミリーが一丸となって頑張ります。御指導・御鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

   



新しい釉薬の開発のための基礎研究
  
   イチョウの葉を使った釉薬              イチョウの枝を使った釉薬

 
                                                                          砥部分校での試作

 
 
 
 



釉薬に関する先進校視察訪問(佐賀県立有田工業高校)
 8月1日、2日、釉薬に関する先進校視察として、佐賀県立有田工業高校を訪問し、セラミック科の先生方に釉薬の研究についてお話を聞かせていただきました。
 
 



《研究成果の発表》

第43回全国高等学校総合文化祭自然科学部門(佐賀県)
 令和元年7月27日(土)~29日(月)の間、佐賀大学本庄キャンパスで開催され、本校理数科3年イチョウ班が、愛媛県代表として研究発表に参加しました。
 イチョウ班は「イチョウの灰を使った釉薬の開発」のテーマについて、これまで約2年間行ってきた研究の成果を発表しました。研究発表やポスター発表では、さまざまな分野の研究の発表を聞き、質問をしたり、いろいろな話をして交流を深めたりすることができました。
 結果として、イチョウ班が研究発表 化学部門において、奨励賞(4位に相当)を受賞することができました。
 
 「みらいぶ(河合塾)」のサイトでの本研究の紹介はこちらです。
 2019さが総文「校庭のイチョウから郷土の名産磁器の釉薬を作る」【化学】愛媛県立松山南高校 松山南イチョウ班

 
 これまでたくさんの方々の協力を得て進めてきた研究の成果を、このような晴れの舞台で発表でき、とても幸せだと感じました。今後は研究論文をまとめ、次のステージでチャレンジをしていきたいと考えています。