《松山南SSH事業 高大接続》
高大接続科目・グローバルサイエンスキャンパス・SSH卒業生が勤務する大学研究室との連携
(1)愛媛大学の高大接続科目で単位修得
【目的】愛媛大学と連携し、高大接続科目を設置することによって、生徒の学習意欲を向上させるとともに、大学の学びにおいて求められる能力を実践的に身に付ける。
【概要】愛媛大学は平成27 年度に文部科学省大学教育再生加速(AP)プログラムの一環として、高大接続科目「ことばの世界」を設置し、高校生が大学の英語の授業を受けられるようになった。希望者は愛媛大学に放課後、週1回8週通う。平成28年度からは、科目等履修生として愛媛大学の単位を修得できるようになった。さらに、平成29年度から「数学入門」が開講され、本校の生徒が受講している。
本校生徒は、令和元年前学期(第1・第2クォーター)に、新たに開講された「初修外国語」(ドイツ語、フランス語、中国語、朝鮮語)を、令和元年後学期(第3・第4クォーター)に「ことばの世界」と「数学入門」を受講している。
2、3年生の希望者が受講し、修得した単位は、愛媛大学に進学する場合は、教養科目として1単位が認められる。愛媛大学以外の大学に進学した場合に単位が認定されるかどうかは、現在検討していただいている。

【内容】
〇高大接続科目「ことばの世界」後学期(第3・第4クォーター)
履修資格として、英検2級程度以上または同等以上の英語能力が条件とされている。
多様な人々と協働するための、英語による表現力やコミュニケーション能力を身に付けることが目標である。
講義では、実際に英語で自分の意見を述べたり、日常生活で使用頻度が高い表現でスキットを行ったりする。
平成29年度は、2、3年生の希望者が愛媛大学の主題探究型科目(教養科目)を高大接続科目として受講し、17名が単位を修得した。
平成30年度は、2、3年生の希望者が愛媛大学の主題探究型科目(教養科目)を高大接続科目として受講し、13名が単位を修得した。
令和元年度は、2、3年生の希望者が愛媛大学の主題探究型科目(教養科目)を高大接続科目として受講し、9名が単位を修得した。
令和2年度は中止となった。
〇高大接続科目「数学入門」後学期(第3・第4クォーター)
論理記号を用いたり、数学・科学的な「真とは何か」を理解したりすることを目標としている。
講義では、論理記号による命題の記述、命題の真・偽値、及び集合算との関係、無限濃度、パラドックスが解消されてきた経緯を学ぶ。
平成29年度は、2、3年生の希望者が愛媛大学の学問分野別科目(教養科目)を高大接続科目として受講し、7名が単位を修得した。
平成30年度は、2、3年生の希望者が愛媛大学の学問分野別科目(教養科目)を高大接続科目として受講し、6名が単位を修得した。
令和元年度は、2、3年生の希望者が愛媛大学の学問分野別科目(教養科目)を高大接続科目として受講し、11名が単位を修得した。
令和2年度は中止となった。
令和元年度より新科目開講
〇高大接続科目「初修外国語」初級ドイツ語、初級フランス語、初級中国語、初級朝鮮語 前学期(第1・第2クォーター)
第1クォーター及び第2クォーターに開講される同一言語の科目をともに履修することが条件になっている。
ドイツ語、フランス語、中国語、朝鮮語、フィリピノ語の中から選択することができる。
講義では、各言語の技能検定に合格するための実力を養成したり、言語の文化的背景について学んだり、学習内容も多岐にわたっている。
令和元年度は、ドイツ語受講者4名、フランス語2名、朝鮮語4名が単位を修得した。
令和2年度は、ドイツ語5名、中国語3名、朝鮮語1名の受講予定であったが、中止となった。
《受講についての所感》
「初修外国語」
・英語以外の外国語を短期間で学習しやすい環境が整っている。
・大学では、第二外国語としてフランス語を学びたいと思っている。あいさつ程度の会話ができるようになった。
・朝鮮語や韓国の歴史・文化を学べる大学や学部に進学したいと思うようになった。
「ことばの世界」
・スラングや省略など、日常会話にかなり近い英語を学ぶことができる。
・様々な問題について、日本と外国との考え方の違いを知ることができた。
・同じ英語でも、話される地域による違い(なまり)も聞き分けられるようになった。
・日常でよく使う表現を使って、寸劇をしたことが楽しかった。
「数学入門」
・(数学については詳しいつもりでいたが)自分の知らない世界がまだまだあると気づいた。
・高校では記号しか習わないが、それが持つ意味や使い方も学び、さらに数学に興味を持った。
・新しい概念や、考え方、表現の仕方を知ることができた。
・高校での基本の大切さがよくわかった。
【成果】
受講前は、未知の内容に少し不安があったようであるが、高大接続の講義を通じて進学や大学卒業後の進路を具体的に考えたり、高校と大学での学びの連続性に気付いたりしたようである。
どの感想からも、受講の充実感を窺うことができた。また、外国語科目受講の動機として、医学部への進学を考えているためにドイツ語を、韓国の文化に興味があるので朝鮮語を、台湾の生徒と交流するために中国語をというように、高校での主体的な学びや、自身の進路に大きく関係している場合が多い。
数学選択についても同様に、数学オリンピックを目指している生徒のさらなる数学への知識欲求や、大学で数学を専攻したいが、高校と大学では学び方や内容にどのような違いがあるのかを知りたいなど、はっきりとした目的意識が見られた。
高大接続科目を履修し、生徒は、高校で学んだ幅広い知識を使って演習をしたり、さらに深く学んだりすることができたようである。特に英語や数学については、高校で学んだことを実際に活用するということを実感している。
また、今自分たちが学んでいることが、大学教育においてどのように深まっていくのかも感じることができたようである。
大学における学びの経験により、高校での学習においても、今なぜそれを学んでいるのか、今の自分たちの学習がどう広がっていくのかというビジョンを描くことができ、主体的に学習に取り組む意欲がさらに向上したといえる。

(2)松南課題研究Gradeupプログラム(第5期から実施)
「松南課題研究Gradeupプログラム(MGP)『グループ研究』 × 愛媛大学GSC『個人研究』の相乗的な効果
平成30年度から愛媛大学がGSC(グローバルサイエンスキャンパス)に指定され、本校からも毎年多くの生徒がGSCに挑戦している。
そこで、第5期からは、本校生徒が主体的に挑戦し、選抜された意欲的な生徒が定期的に大学に通い課題研究を行い、「ハイレベル科学技術人材」(Specialist)を育成するため、研究意欲や才能のある生徒を選抜し、愛媛大学と連携して、複数の生徒からなるグループが愛媛大学の研究室で継続した研究が行えるシステム(松南課題研究Gradeupプログラム)
を構築する。
MGPで課題研究を行ったグループ生徒は、大学の先生や大学院生の指導助言を受けながら、論文、ポスターを作成し、愛媛大学GSCや学会での研究発表を行わせる。その際、MGPでグループ研究を行った生徒たちと愛媛大学GSCで個人研究を行った生徒たちが互いに刺激を与え合い、相乗効果を得てより高いレベルの研究となるシステムを構築する。

令和2年度は、理数科2年生1班、1年生1班を選抜し、愛媛大学プロテオサイエンスセンター生体超分子研究部門の杉浦美羽先生に御指導を受けることとした。研究室に机も用意していただき、また、大学生、大学院生とともに大学の施設・設備を利用して研究を進める準備はできていた。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、大学構内への立ち入りができなくなった。そこで、Zoomやメールを用いて研究の進捗状況を報告したり、研究計画に対するアドバイスをいただいたりするなどの活動を行いました。
学校で研究を進めるため、高価な分光光度計をお借りするなど、丁寧な指導をしていただきました。
〇対象班 理数科2年生3名 研究テーマ「ホウレンソウに含まれるアスコルビン酸の定量方法の確立」
理数科1年生3名 研究テーマ「野菜におけるビタミンの滴定方法の検討」
2年生の班は、第7回 中高生のためのかはく科学研究プレゼンテーション大会 ポスター部門 愛媛県知事賞を受賞しました。

また、愛媛大学教育学部 中本剛先生の研究室に下記の理数科2年生4名がMGPで指導を受けた。
〇対象班 理数科2年生4名 研究テーマ「レーザー光の干渉を用いた布の物理的性質の比較」
この班は、第17回日本物理学会ジュニアセッションの研究発表会にオンラインで発表、質疑応答を行い、「奨励賞」を受賞しました。


(3)広島大学、愛媛大学のグローバルサイエンスキャンパス(GSC)で専門的研究を実施
◆グローバルサイエンスキャンパス広島(GSC広島)
〇令和2年度GSC広島
持続可能な発展を導く科学技術人材育成コンソーシアムGSC広島
令和2年度におけるホップステージ開催については,新型コロナウイルス感染症の状況を鑑み,広島大学公式YouTubeチャンネルにおける動画配信および主体的活動によるオンライン開催となり、ホップステージに本校生徒は42名が参加しました。
➡次のステージであるステップステージへ全国で50名選抜されましたが、本校からは8名もステップステージに進出しました。
令和2年8月9日(日)14:00から「第1回ステップステージオンラインセミナー」が開催され、本校生徒が参加しました。

令和2年9月13日(日)に、広島大学グローバルサイエンスキャンパス(GSC広島)第2回ステップステージセミナーがオンラインで実施されました。Microsoft Teamsのグループテレビ会議を利用し、「情報リテラシー講座」や「各分野別科学セミナー」を受講しました。以下、参加生徒の感想です。
〇「実験して失敗したときに、答えが相当難しくても繰り返し考えて、次の実験に役立てるのが実験だ。」という言葉に感銘を受けました。私もSSの実験で、予想通りの結果にならない時など、諦めずに考え頑張ろうと思いました。
〇内容が少し難しかったけど、自分なりに理解することができたので良かったです。先生がおすすめしてくださった本を読みたいと思います。また、本日学んだことをしっかり復習し、次の講義の内容が理解できるようにしておきたいと思います。
〇今日は量子力学の内容で、予備知識もなく難しい内容でしたが、クオークやレプトンなどの構成要素のことや、その素粒子の世代混合について知ることができました。今回学んだことを、今後しっかりと生かしていきたいと思います。
〇「「正解」に満足することなかれ」という言葉が印象深いです。全てのものに疑いの目をもって生活することが重要だと改めて感じました。また、生物多様性の大切さを教科書目線とは違う生物学者の目線で考えることができ、知らないことが多々出てきてとても楽しかったです。
〇化学分野では「ミネラルウォーター・水道水の硬度の測定」のセミナーを受けました。セミナーでは初めて聞く指示薬や、100ml測れるホールピペットなど、今まで行ってきた実験で見たことないものが多く、大変興味深かったです。


令和2年11月1日(日)
GSC広島ステップステージ課題研究発表会をオンラインで実施しました。
受講生は、それぞれの分野で研究計画のポスターを作成し、オンラインで審査員の先生方と意見交換を行うなど、充実した発表会となりました。以下は参加生徒の感想です。
○今日はジャンプステージの選考も兼ねたポスター発表でした。他の発表者の人の意見に多く触れることができ、良かったです。また、大学の先生の意見は、いつもとは違う角度で聞かれることが多いと感じました。
○今日はポスター発表を行いました。他人の発表を見ることで自分の視野を広げることができました。また、自分の発表に関しては、大学の先生から興味深い意見をいただき、自分の研究の課題を知ることが出来ました。
○三人だけのポスター発表の最初ということで緊張しましたが、8分ちゃんと自分の伝えたいことが言えました。他の人の研究も聞いて、大事なことが何かよく分かりました。
○今回はポスター発表ということでとても緊張しました。ですが、無事上手く終えることが出来ました。先生からも、貴重なご意見を頂きとても勉強になりました。

主体的に学びを究めようとする高校生が高度な学術にふれる機会を拡大しようという目的で,2008年に「最先端科学の体験型学習講座」としてスタートしたプログラムです。
今年度は,このような状況の中オンライン開催となり,選考の結果本校から,1年生の矢野深鈴さん,2年生の安田悠人くん,橘円香さんの3名が選抜されました。
10月4日(日)にzoomで開講式が行われ,10月,11月にはそれぞれが応募した講義を受講します。
京都大学の先生,同じ講座を受講する全国の高校生との対話型の活動は,きっと刺激的で実り多いものになるでしょう。
京都大学「ELCAS」オンライン2020の関係ページはこちらです。

